鉄筋コンクリート造(RC造)解体
季節は巡りいつも間にか春も足早に過ぎ去ろうとしてますね。。
ブログおひさしぶりです!
世間は元号が平成から令和へ変わりGW10連休に沸いています。そんな僕も連休中は壱岐へ二泊三日の釣りキャンプに行く予定で内心沸いています(笑)
では今回は先日完了した鉄筋コンクリート造の解体工事について
現場写真と共に書いていきたいと思います。
鉄筋コンクリートとは?
簡単に言えばコンクリートと鉄筋を構成して作ったものを指します。
戦時中は鉄不足のため竹筋コンクリートなるものも建設されたようですが、なぜコンクリートや鉄骨だけで作らないのか?答えはお互いの弱点を補いあって長期間強靭な構造を維持できるからです。
具体的には鉄筋は引張力に強く、圧縮力に弱い。コンクリートは引張力に弱く、圧縮力に強い。また、鉄は錆ますがコンクリートの高アルカリ性に守られるため長期間高い耐久性が得られます。
そうです、理想の夫婦のような関係が鉄筋コンクリートなのです!!
そんな理想の鉄筋コンクリート夫妻を離婚(解体)する云わば逆ジゴロの方法を追っていきたいと思います(笑)
現地調査
鉄筋コンクリート造(通称:RC造)だけでなくどんな建物の場合でも解体方法の選定をするためにおこないますが、特に近隣に影響が大きいのがRC造となります。
RC造の建物は堅牢なため通常の木造解体で使用する重機と比べて大きなスペックが必要になり、それに併せて振動・騒音も大きくなりやすくなります。
また、解体材の搬出時には大型ダンプの乗入が多くなるので周辺に学校や保育園などがある場合には時間調整が必要ともなります。
最近問題となっているのはアスベスト(石綿)です。アスベストは年代によって建材に含まれる含有率に違いはありますが、施工方法は性状によって変わります。どこにどんな性状で使われているのかを調査し対応策を練る必要があります。
足場解体養生
RC解体の場合は前述のように大型重機を使用するため立入できない作りにし、コンクリートを壊した際に発生する大量の粉塵を飛散させないために木造解体よりもしっかりとした物が求められます。
また、近接したお隣様の建物がある場合は特に注意が必要になります。養生をしているから大丈夫ではなく、構造によっては「もしも」を考え更なる養生、段取りが必要になる事があります。
内部解体
解体をおこなう際に必ず必要になる事が廃棄物を種類ごとに選別することです。RC造では特にコンクリートの建物躯体だけになるまで徹底した内部解体が必要です。
ときには建物内部に小型の重機を入れたり場合によってはすべて手作業になる場合もあるためRC造の解体でもっとも人手が必要となる作業になります。
上屋解体
いよいよ躯体の解体に着手していきます。順序としては、
①間仕切り壁撤去
②上階の床スラブ撤去
③屋根撤去
④外壁の撤去
以上が基本となります。
一度に全体を解体するのではなく構造を見ながら安定して建物が自立できるように順序よく解体していく事が求められます。
RC造の解体で一番緊張するのは外壁の撤去をおこなう時です。転倒工法と呼ばれますが外壁が間違いなく内側に倒れるように解体しなければ近隣の建物に損傷を与えたり、足場倒壊の事故に繋がるためです。
またRC造の解体で重要となっているのが多量の散水です。
雨が降っていれば抑制はされますがコンクリートを破砕する際には多量の粉塵が発生し近隣クレームに発展しやすい要因です。そためには家庭用の水道管から得られる水圧では散水が追い付かず足りない場合があるので25mm以上の水道管に接続し直す必要がある場合もあります。
基礎・地中障害物解体
RC造の建物を解体する際に立米あたりの費用が最も必要となる箇所です。基礎は建物を永年に渡り支え続ける部位になるのでもっとも厚みと梁せいが大きく、地中にあることから解体しづらいのです。
今回の解体では地中杭はありませんでしたので良かったのですが、存在する場合には解体工事の費用と同じくらい撤去に必要になる事もあるので注意が必要です。
また、浄化槽や便槽などの撤去に際して汚物の抜き取り、消毒が必要になります。
汚物は産業廃棄物ではなく、一般廃棄物となるので施主様での依頼となりますし、武雄市など杵藤地区では浄化槽の廃止届までが施主様での届出が必要となっています。
※杭抜き
話のついでに杭抜き工事へ脱線してみます!
杭抜きと言えど様々な種類があります。主流なのがケーシングとゆう鋼製の筒にバイブロ(超微細な振動)をかけて筒の先端から高圧ジェット水を噴射しながら杭を中心に地中へ下降させていきます。
私も工事に立ち会うまでは不思議だったのですが鋼製の筒が振動と水の力で自重だけで地中に潜っていくのです!また、工事現場ではあまり振動での揺れも気にならない程度なのですが地形や地中構造によっては現場から1kmくらいのところで揺れを感じる事もあるそうなので尚更不思議な気持ちとなりました・・。
上の写真がバイブロマシーンでケーシングをチャッキング(掴む)して杭のまわりへ貫入している状況です。ケーシングを貫入することにより、杭が地中で受けている土圧(摩擦)を解いてあげてから引き抜くといった作業の流れとなります。
ここでやはり難しいのは長い杭の場合です。ケーシングは少なくとも杭より長くなければならないので、15m、30mの杭となればそれだけ長大なケーシングが必要になり、クレーンも大型のスペックが必要となります。
埋戻し、整地
脱線しつついよいよ大詰めです!RC造の解体の場合は基礎が大きいため埋戻し工事が必要となります。埋戻しの際は厚み30cmごとの転圧も必要となるのでただ埋めれば良いとはいきません。今回は大型の重機もありましたのでスムーズな埋戻し作業ができたかと思います。
転圧作業が予定GL高-100mm程度のところで次は砕石締めです。
解体工事の仕上げは解体後の現地の土で整地をおこなう場合があれば再生砕石で仕上げたり、もしくは購入してきた砕石で仕上げるなどがポピュラーかと思います。たまに防草シートを張った上での砕石仕上げの場合もありますね。
この現場の場合は再生砕石仕上げでしたが、周辺が観光地であり、完了後は駐車場としての利用が主でしたので振動ローラーで締め固める事でヒールを履かれた女性でも少しは歩き易い様に仕上げました。
いつだったか元請の施工管理者の方が解体工事に品質はないだろう?
と言われた事がありましたが私はあると思います。
たしかに解体工事はこれから住まれる場所を作る訳ではなく、安かろうよかろうといった気風があると感じます(安ければ良いって意味です)。
しかし、周辺に住まれている方々からしたら解体するにあたって敷地が狭かったり、騒音振動があったり、ホコリがすごかったりと迷惑がられやすく、後の工事やそこに住まれる住人の方のイメージにまで影響する可能性もあります。
ただ解体してさよならではなく、いい仕事をしたい。
そう思う事で品質はもっと上がると思いながら今回の〆とさせていただきます。
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